ターコイズは持ち主に危険が迫ると、変色したり、自ら割れたり色を変えて災難除けとなるとも伝えられます。 ローマ帝国の皇帝ルドルフ二世の侍医をしていた神学者、アンセルムス・デ・ブートは、著書『宝石の歴史』の中で、ターコイズに関する不思議なエピソードをいろいろと記載しています。彼はイタリア留学を終えて故郷のボヘミアに帰る途中、険しい道で馬から落馬。大地に叩きつけられてしまいました。 しかし、かすり傷ひとつ負わず、代わりに父からもらったターコイズが四分の一ほど欠けていたのでした。その数日後、今度は重い棒を担ぐ仕事をしていたところ、脇腹に激痛が走り、骨が折れたような感覚があったのですが、実際には異常がなく、代わりにターコイズが割れていたということです。 実際、ターコイズは多孔質の石であるため、ずっと装着していると肌の油分や汗を吸い込んで変色したり、逆に乾燥した場所に放置しておくと割れやすくなります。もしも危険な状況で冷や汗をかいたとしたら、肌身に付けたターコイズの色が微妙に変わっていてもおかしくはないかもしれません。